3話 女ミノタウロスなスタール夫人のプロポーズを拒否った結果

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公開日: 2015年7月2日木曜日 ナポレオン無双 自作小説




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■■

「おい、起きろ」

暗殺者達を捕えたナポレオンは、情報を聞き出すために暗殺者Cの身体を揺らして起こした。
暗殺者Cは目を開けてパチっパチッとさせた後、憤怒の表情でナポレオンを睨む。

「お、お前は侵略者ナポレオン!」
「ようやく起きたか。実は貴様に聞きたい事があるのだ」
「侵略者に話す事など何もない!殺せ!」
「うむ、前の人生でもお前はそうだったな。私が助命してやろうか?と問いかけた時も同じやり取りだった」
「はっ?なに意味の分からない事を言ってんだ!?殺すならさっさと殺せ!」

ナポレオンは敵ながら、この暗殺者Cに感心しつつ、問答無用で問いかけた。

「なに、私は貴様を取って食おうとしている訳ではない。私が聞きたいのは一般常識だ。そんなに緊張するな」
「……聞き出したら俺を殺すんだろう!?」
「そんな事はしない、私が聞きたいのは――今は西暦何年か?ただそれだけだ」
「はぁ?西暦1820年に決まっているだろ!そんな事、農民だって知っているぞ!」
「西暦1820年だと?私がセント・ヘレナ島で死んだのは1821年だぞ!?」

暗殺者Cから聞き出した情報に、ナポレオンは驚愕した。
1820年――その時の自分は、既に全ヨーロッパを敵に回して敗退し、フランスの人口構造に多大な悪影響を与え、島流しに遭ってイギリス兵の監視付きの窮屈な生活をしていた頃だ。
フランス帝国も崩壊して、フランス革命で倒したブルボン王朝が返り咲く結末を迎えたはず。
分からない。
この世界のフランス帝国がどういう歴史を辿って、ヨーロッパを支配するに至ったのか分からなかった。
そうやって悩んでいると後ろから

「あのマスター、深く悩んでいるようですけど――ここが元々ゲームの世界だって忘れてませんか?歴史の時系列とかかなり滅茶苦茶だと思いますよ?」

ミーニャンがゆっくり語りかけてきた。
ナポレオンはその言葉に頷き、今やるべき最善の道を選択する。

「うむ、そうだったな。ならこの暗殺者に1つ1つ聞いて、情報を集めるとしよう。ほら話せ。話せばお金を恵んでやるぞ」 尊大な態度だった。
「誰が喋るか!殺すなら殺せ!」
「お金があれば家族に楽をさせてやれるぞ?親孝行をする気はないのか?私も1日1食の貧乏暮らしをした事があるから気持ちは理解できるぞ?」
「俺にだって男としての誇りがある!侵略者の利益になる行動は絶対しない!恥を知れ!」
「……なぜ、ここまで頑固なんだっ?まさか私がローマ教皇を拉致・監禁して全ヨーロッパの敵になった騒動を起こした後なのか?」

暗殺者Cは絶句した。
ナポレオンの言っている事が意味不明すぎる的な意味で驚いた。
ローマ教皇にそんな事したら――確実にキリスト教から破門されて地獄に落ちるレベルの大罪だ。

「マスターって、キリスト教の最高権威を監禁した事があるんですか?」隣に居たミーニャンが呆れている。
「うむ、さすがにローマ教皇を監禁するのは失策だった。まぁ、私の構想通りに進めば、教会を最終的に国の管理下に置くつもりだったから遅かれ早かれ、手を出していたと思う」
「ちなみに聞きますけど、なんでローマ教皇を監禁したんです?」
「当時の私は老いて頭の動きが鈍っていてな。政権基盤を維持する人材から見離されて自滅の道を辿っていたのだ。そうなった経緯を細かく話せば30分くらいかかる」
「短く説明してください」
「私の命令(大陸封鎖令)を守らないローマ教皇との関係が拗れて破門宣告されたから、ついつい激怒して土地を没収して北イタリアに監禁した」
「……そりゃ全ヨーロッパが敵になりますよ」
「うむ、私も後で後悔したから愚策だった。イスラム教にせよ、キリスト教にせよ敵に回すと怖いな。しかし、今は過去を振り返るよりも情報を得る事が先だ」

ナポレオンは暗殺者Cへの尋問を続けた。
暗殺者Cは最初は反抗していたが、少しづつ目の前にいる男の常識外のカリスマに惹かれ、この世界の情報をペラペラと漏らすのに5分もかからなかった。
フランス革命が起きて、断頭台で貴族と王族の首がスポポーンと空を旅した事――史実。
貧乏貴族のナポレオンが戦争(後ろも前も敵状態)で英雄的な活躍をして、皇帝へと成り上がった事――史実と同じ。
ヨーロッパ中の国々に革命を輸出して武力によって打ち破り、古い秩序をぶっ壊して征服した事――史実と同じ。
北の大国帝政ロシアの代わりにソ連――ソビエト社会主義共和国連邦が存在するが今は気にしない事にした。
そして、一番重要だったのがスペイン独立戦争が勃発しておらず、ナポレオンが大陸封鎖令は出していない事――

「なるほど良い事を聞けたぞ。私の敗北フラグが1つへし折れたな」
「マスター?この大陸封鎖令って何です?」 ミーニャンが狐耳を少しピョコピョコさせながら尋ねた。
「高い工業力と経済力を持つイギリスを経済制裁して、全ヨーロッパの経済を牛耳るための策だ」
「経済制裁って事は、輸出とか輸入とかの貿易を禁止するって事で良いんですか?」
「ミーニャンは物分りが良いな。褒めてやるぞ」

ナポレオンは用済みになった暗殺者Cの頭を空手チョップで気絶させながら、ミーニャンを褒めた。
ミーニャンは先ほどからのナポレオンの行動を見て、現実は暴力だらけで怖いなぁ、パソコンの中に入ってゆっくり画像データを食べたいなぁと思いながら、

「……結局、ヨーロッパ経済を牛耳る事に失敗したんですよね?今までの話の流れ的に考えて」
「うむ、ミーニャンの想像通り結果は大失敗だ。当時のヨーロッパ諸国は世界の工場イギリスなしではやっていけない経済構造だったから――イギリスを経済制裁すると、ヨーロッパ経済に大打撃を与えて不景気になる事を意味する。民衆は貧乏になり、政府は税収が減り、私に反感を持つという訳だ」
「簡単に纏めると経済制裁でイギリス潰すつもりが、大陸封鎖令でフランス帝国を自爆させちゃったんですよね?」
「現実は個人の考えた妄想通りに進まなくて難しいのだ。経済は戦争以上に先行きを読むのが難しい」
「最悪な死亡フラグ減って良かったですね、マスター」
「ああ、私は運命に愛されているとしか言いようがない」
「私的にはマスターがフランスの工業力を発展させて、パソコンを作ってくれたら嬉しいなーと思います。画像データ食べたいです」
「しばらくは現実の料理を食べろ。フランス料理の美味しさは保証するぞ?」

ミーニャンの狐耳が将来の期待でピョコピョコ嬉しそうに動く。
黄金の狐耳が愛らしく、ナポレオンは両手を伸ばして触れようとすると、サッとミーニャンに距離を取られて逃げられた。
ナポレオンは狐耳を掴めなかった不満を愚痴った。

「触っても減るもんじゃないだろう?」
「いや、マスターって結構なプレイボーイじゃないですか?狐耳や尻尾からエスカレートして最終的に妊娠させられる気がするんですよね」
「100人以上の女性に手を出したが皆に贅沢させてやったし、幸せになったぞ?」
「うーん、そういう問題なんですかね?」

ミーニャンが首を傾げた。
ナポレオンは歩みを再開し、裏路地を通ってフォンテーヌブロー宮殿がある方角へと向かう。
その後ろ20mを、ミーニャンが歩いてついてきた。



■狐娘は守れ■

ナポレオンは300mほど歩いてから、後ろの路地から大勢の人間の足音と声がする事に気がついた。

「ナポレオンはこっちだ!」
「殺せばたんまり報奨金が出るぞ!」
「共産主義万歳!」
「殺せ!殺せ!ヨーロッパの抑圧者を殺せ!」
「やつを殺してヨーロッパを解放するんだぁー!」

ミーニャンもこの声を狐耳で聞き取っていた、ナポレオンの隣に走って並んで首を傾げながら、

「あの、マスター。暗殺者さん達がたくさん近づいてますよ?」
「それはそうだろう。私が死ねばフランス帝国は瓦解する。戦場で私を打倒しようと思ったら100万の兵力を費やしても無理だから、暗殺で解決しようとするのは当然の判断だ」
「……前世のマスターって、ハードな人生歩んでますよね」
「最初の人生でも、荷車に仕掛けられた爆弾テロで大勢の兵士と馬が死んで大変だった」
「19世紀の時代に車爆弾とか……マスターって時代を先取りしすぎです」
「私の人生はロマンチックで素敵だろう?」
「素敵なのかなぁ?」
「ロマンに溢れていたからこそ、80万人のフランス軍人が私の名前を叫んで戦場で散ったのだ。ロマンと夢がなければ人間は動かない」

ナポレオンは胸を反らして偉そうに語った。
それと同時に、頭の中で冷静に計算し、暗殺者達の魔の手から逃げるために何をすべきかを考える。
変装する時間はない。
民家に逃げ込めば隠れる事はできるが、きっと騒ぎになって場所がばれる。
お荷物のミーニャンはその途上で、確実に死ぬだろう。
だからナポレオンが考えた結論は、

「――ミーニャン、暗殺の標的は私だ。だから別行動を取るぞ。後でフォンテーヌブロー宮殿で合流しよう」
「フォンテーヌブロー宮殿?」
「そこら辺にいる市民に聞けば道は分かる。フランス料理もそこで食べさせてやろう」
「高クオリティの神画像並に美味しいですか?」
「電子生命体の味覚はよく分からん。時間がないから私はここを去るぞ」
「……マスター、死なないでくださいね?」

不安そうなミーニャンの声に、ナポレオンは自信満々の笑顔で

「私を誰だと思っている――ヨーロッパを征服した男だぞ?」
「失敗したじゃないですかー」
「……次は上手くやるさ」

そう言い残して、その場から走り去った。
ナポレオンが去った方角とは別の方向に、ミーニャンは大きな尻尾をフリフリ揺らしながら歩き、ナポレオンの無事を祈る。
そして、現実の世界が窮屈に感じた。
(人間の身体って不便だなぁ、裏路地は臭いし不潔だし、綺麗な電子の海に帰りたいなぁ)


■移動式トイレ先進国■

「こっちだぁー!ナポレオンはこっちにいるぞー!」
「待ちやがれぇー!」
「故郷を征服したナポレオンは殺すー!」

ミーニャンと別れたナポレオンの後ろから、大勢の暗殺者が追いかけてきている。
手に単発式の拳銃や短剣を持ち、時折、銃声が響いた。
ナポレオン目掛けて飛んできた銃弾は、物理法則を無視する形で横に軌道が反れて――近くの壁にめり込む。
彼が持つ矢よけの加護スキルの効果だった。

「なんだ!?弾が当たらないぞ!?」
「立ち止まるな!弾丸を再装填して追えー!」
「足早すぎっ!」

暗殺者達がこうしている間に、ナポレオンはどんどん先へと走って進む。
彼の脳裏には生前、兵士達に異常な距離を走らせて、各地の戦場を転戦させた事が思い浮かんでいた。
(兵士達に昼も夜も走らせて、僅かな休憩だけでオーストリア軍相手に戦わせた昔が懐かしい……皆、私の無茶な命令をよく聞いてくれたものだ)
薄汚れた裏路地を走り抜け、かつての栄光を取り戻すために宮殿の方向へと向かう――黒い物体が前方に降ってきた。
「うんうんを捨てたよ!気をつけてね!」
その言葉に、目の前の物体が何なんなのか理解したナポレオンは、後ろへと急いで飛んで逃げた。
グチャッ――降ってきた汚物の正体。それは液体状のウン●。
当時のパリ市民は●●コをオマルに溜め込んだ後に、窓から捨てるのが常識。
ナポレオンは戦慄した。

(ほ、本当の敵は暗殺者じゃないっ……!パリ、いや!ヨーロッパ全体の都市環境が本当の敵だ!)

次々と裏路地に隣接する建物の窓がガバッ!と開き、オバサン達がオマルの中に溜め込んだ汚物を次々放り捨てる。
その姿はまさにウ●コシャワー。
ナポレオンはそれらを嫌な思いで避けつつ、ウ●コが飛んでこない表通りを目指した。

「今からウンウン捨てるよ!」
「ウンウン捨てるから注意してね!」
「裏路地が臭いっ!めっちゃ臭い!」
「ウンウン投げるよ!」

――少しでも選択を間違えばウ●●まみれ。
次々と降り注ぐ汚物を右に左に避け、既に地面にあるウ●●は飛び越し、ナポレオンの後方や前方からやってくる暗殺者がウ●●の犠牲になっていた。
無関係の通行人や住人にも、ウ●●が降り注ぐ。
 
「ぎゃぁー!ウンコだらけだぁー!」
「臭いっ!臭すぎる!」
「ナポレオン暗殺どころじゃない!」
「こら!そこのオバサン!投げるのやめろ!」
「はああああああああああああ!?!!声をかけた後に、ウン●捨てても良いに決まっているでしょおおおおっ?!!!それがパリ市民のマナー意識でしょおおおっ?!!!」

完 全 に ゲ ー ム の  世 界 が 現 実 化 し た 弊 害。
パリ市民は部屋に置いたオマルに溜め込んだウ●●を次々と捨てていた。
早く綺麗な水で洗わないと病気になるから、ウ●●まみれの暗殺者達は退散する。
だが、暗殺者が逃げた先の川は、次々と大量のウン●が流れ着いて汚染された酷い場所。
今は関係ないが、フランス王妃マリー・アントワネットが生きていた頃のヴェルサイユ宮殿もウン●だらけ――毎年2200トンのウン●が量産されている糞な場所。
当時のフランスを思い出してナポレオンは絶望した。

「うわあああああああああああああああああああああああ!!!道路掃除の連中は何をやっているんだああああ!!!」

清潔な衛生環境で育つ日本人に転生したせいで、昔のフランスの現状に耐えられない。
人前でウン●するの当たり前。
王侯貴族がウン●している時に本音を漏らしたり、尻を拭く紙に政策の下書きをしていた事が多々あり、ウン●が歴史を動かした事がある。

「うんうん捨てるよー!」
「逃げてぇー!」
「間に合わなくなっても俺は知らんぞぉー!うんうん投げるよぉー!」
「ウンウン投げるよぉー!」

次々とパリ市民がウ●●を投げた。
ナポレオンの矢よけの加護スキルが発動して、ウ●●の軌道が反れて外れる。
地面に落ちて飛び散るウ●●も回避し、ナポレオンは走り続けながら思った――今のヨーロッパに必要なのは、上下水道のインフラのインフラ作りと、身体を清潔にする知識だと。
莫大なコストがかかってもパリを大改造するしかない。
伝染病対策にもなるから、そうすべきだ。
そう思って裏路地を走り続けていると、表通りが見えてきた。
だが、その先で待っていたのは――真っ赤なドレスを着たミノタウロスとしか言いようがない大女。

「ナポレオンっー!2世紀ぶりねぇっ!!!!!!」

生前のナポレオンとフランス帝国を破滅させた宿敵の1人――スタール夫人だった。
ナポレオンに振られた腹いせに、反ナポレオン連合軍が結成されるように尽力しちゃったヤンデレ娘。
しかも、彼女は両手に、馬を真っ二つに出来そうなサイズの斧を持っている。
夜、いや昼間に見かけても子供が泣き出すと思えるほどに怖い格好。
ナポレオンは後ずさりしながら――嫌々な顔で話しかけた。

「ス、スタール夫人!?2世紀ぶりという事は……お前も前世の記憶を持っているのかっ!」
「ええそうよぉ!!!!!!私っ!あなたに憎まれて思われるだけで人生が充実するの!今度も全力でアナタに挑戦してあげるわぁ!」
「フランスからの追放令を取り消すからそれはやめろ!」
「あ、あらっ?!私に優しくなったわね?べ、別に私は嬉しくないんだからねっ!!愛人にしてくれてもいいわよっ!親友のジョゼフィーヌよりも情熱的に愛してあげるわぁぁぁぁ!!!!」

女ミノタウロス(スタール夫人)が乙女な顔?になって、片目をバチコンッ!とウィンクした――全く女性としての魅力はそこにはない。
ナポレオンは困った。
この女を懐柔するために愛人にしたら、うざすぎてストレスで死ぬ事は確実。
ナポレオンを英雄に仕立て上げた怪物政治家タレーランですら、スタール夫人と同棲生活をした事がトラウマになり――こんな事を言っている。
タレーラン「妻から得られる心の安らぎの有り難味がわかるには、スタール夫人と一ヶ月も同棲してみたら良い」
スタール夫人「私のおかげでフランス政界に返り咲いた癖に、この言い様!」
タレーラン(もうやだ、この女ミノタウロス)
判断に困ったナポレオンは冷や汗を流した――しかし、スタール夫人は急に大笑いして

「ゆふふふふふっ!今のは冗談よぉ!今更、ナポレオンと男と女の関係になる気はないわぁ!私はね!あなたが全ての罠を食い破って勝利した末に――破滅して死ぬ姿を見たいだけなのぉ!」
「なんと迷惑な!」
「その言葉は、ヨーロッパ全体に迷惑かけて490万人も死なせたアナタには言われたくないわぁ!第一次世界大戦起きなかったら人類史上一番迷惑かけた独裁者呼ばわりされていたでしょ!?」
「ぐぬぬぬぬっ……!」ナポレオン反論できない。
「前世であなたがヨーロッパ同盟軍80万人に敗北した時は残念だったわぁ!でも、今度こそ頑張ってねぇ!全部妨害して前世と同じようにぶち壊してあげるからさぁ!」
「なぜそこまで恨む!?2世紀以上前の事だろう!?」
「楽しいからよぉ!ナポレオンに嫌がらせをするのって最高の遊びなのぉ!偉大な人物に挑戦するのって快感だわぁ!私が勝利したらアヘン吸引しまくって前世と同じ生活して自殺するわぁ!」

言っている内容が滅茶苦茶だった。
ナポレオンはこの女は気が狂っているのだと理解した。
目の前にいるスタール夫人は、深すぎる愛(片思い)を憎しみに変えたクリーチャー。
スタール夫人は――ナポレオンがこの世で最も苦手とする二つの内の1つ(もう一つはイギリス)
そうやって苦悩している間にも、スタール夫人は大斧を振り上げて

「あらまぁ!よく考えたら今なら自分の手で、ナポレオンを直接ボコボコにできるわねぇ!片腕一つ貰うわよぉぉぉ!!!そうしたらアナタの心に私が残るわねぇぇぇぇ!!!!!」
「なっ!」

容赦なく――ナポレオン目掛けて大斧を振り下ろした。
ナポレオンは慌てて、両手で大斧の刃を横から挟み込み――偶然、真剣白刃取りが出来た。
スタール夫人は力を込めて斧を押し、ナポレオンがそれを押し返す膠着状態。

「あらまぁ!ナポレオンって凄いわねぇ!さすが万能の天才と言われただけの事はあるわぁ!」
「スタール夫人!和解の道はないのか!私は前世とは違った国を作るつもりだ!だから……国作りに協力してほしい!」
「アナタはそう言って、今まで何人の部下を見捨てたのぉ!?エジプト遠征の時もロシア遠征の時も、散々、味方を見捨てていたでしょぉ!?特にクレベール将軍なんて死んだ後も酷い扱いしたじゃない!」
「人は変わる!私を信じてくれ!」
「ゆふふふふふ!もしも私がフランスのために行動するとしても、戦争馬鹿のアナタに任せるより、有能なタレイランに任せる道を選ぶわ!」

スタール夫人が力を込めて大斧を10cmほど押し込んだ――あと5cmほど斧が前進したらナポレオンの顔が真っ二つになりそうだ。
ナポレオンは焦る。片腕どころか命が危うい。
やり直せる機会を得たのに、こんな所で終わるのは嫌だ。
スタール夫人を説得すべく、言葉を重ねる。

「私は上下水道のインフラを作って、ヨーロッパ全体の衛生環境を向上させて暮らしやすい国を作るつもりだ!仲間になればお金も名誉も思う存分手に入るぞ!」
「ヨーロッパ全体の事を考えるならナポレオンは死んだ方が良いと思うわねぇ!アナタがいるとフランスは国際社会全体を敵に回して破滅するわ!まぁ今の私にはどうでもいいけどねぇ!」
「なんて酷い言い草だ!この女ミノタウロス!」
「昔と全然変わってないじゃないのぉ!!この女性差別主義者!コルシカの悪魔!食人鬼!変態!」
「家に押し入って私をストーカーしてきた貴様に言われたくない!」

スタール夫人は更に力を込めて斧を前進させた。危うく、ナポレオンは顔どころか全身真っ二つにされる寸前で――
ターン!
銃声と共に銃弾が飛んできた。
それはスタール夫人の手に怪我を負わせ、ナポレオンはその隙に大斧を遠くへと放り投げる。

「痛いわぁぁぁ!!!!乙女の手を打ち抜くなんて酷い奴ねぇぇぇぇ!!!!」

銃声がした方向にスタール夫人が振り向くと、そこには笑顔が似合う銀髪の美丈夫が居た。
手に硝煙漂うマスケット銃を構えている。
ナポレオンはその男の姿を見て、感動の声をあげた。

「ランヌ!ランヌではないか!」

ナポレオンを助けた男――ランヌはニヤリっと笑って

「よぉ、ナポレオン!2世紀ぶりだが、相変わらず激動の人生を送っているようだなぁ!」
「お前も前世の記憶持ちか!」

久しぶりの友の再会と同時に、ナポレオンはヨーロッパに住んでいる皆が前世の記憶持ちだったら嫌だなぁと思った。
過去の戦役で、長年一緒に戦ってくれた古参兵ですら低待遇・低報酬・給料未払いのまま地獄を見せまくった末に、ロシアやエジプトの地で軍団丸ごと見捨て本人は本国へ逃げ帰った。
第三者視点で見たナポレオンの実像は、現代のブラック企業の経営者すら良い人に見える鬼畜経営者なのだ。






――リアルチートの歴史がまた1ページ

あとがき


古参兵(´・ω・`)ナポレオンに従うと命がいくつあっても足りないでござる
新兵(´・ω・`)ナポレオンの悪口を言うと、古参兵にボコボコにされてあの世行きでござる。
将軍(´・ω・`)自分の名誉のために、フランス国民の人名を浪費するから困るでござる。

ジャン・ランヌ元帥「銀河英雄伝説のキルヒアイスの元ネタが俺な件、ナポレオン皇帝ととっても親しかったんだぜ?」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/04/blog-post_32.html

アメリカ「リメンバー!こう言えば国民扇動して戦争できるから楽だわW」 歴史のテンプレ
http://suliruku.blogspot.jp/2015/07/blog-post_1.html
アメリカ「建国の父ジョージ・ワシントンが畜生すぎる件、インディアン虐殺どころか、自軍すら半壊させてる」 18世紀
http://suliruku.blogspot.jp/2015/06/18_28.html
ローマ帝国「歩兵の移動速度が速すぎる件、30時間で74km」 紀元前1世紀
http://suliruku.blogspot.jp/2015/06/3074km1.html

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3 件のコメント :

  1. (´・ω・`)やっと書けたでござる。

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    1. 乙女……。
      ミーニャン可愛いヨミーニャン。
      マスター!

      パルメさんがマスターだとパスターですね。

      イア、イア、パスター!
      パスタークフアヤク、ブルグトム、ブグトラグルンブルグトム
      アイ、アイ、パスター!

      続きと共に現れるのです

      削除
    2. パルメ(´・ω・`)そんなー

      削除

(ノ゜ω゜)(ノ゜ω゜)コメントの入力欄は小さいですが、右端の//をクリックして下に引っ張れば、かなり大きくなります。

(´・ω・`)1日に1回、システムからスパムだと判断されて隔離処置されたコメントを、元の場所に戻しておるんじゃよ。

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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。