二章 8話 ランヌ元帥「ナポレオンは最強の俗物だ!」

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公開日: 2015年5月7日木曜日 ts ナポレオン帝国の野望 自作小説




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二章 ナポレオンの大陸封鎖令
ナポレオン帝国の野望】☚まとめたページ

●ミーニャン辺境伯の年収ってどれくらい?

たったの100万ミーニャンです。
そこらへんにいる低賃金の単純労働者以下の給料で辺境伯やってるから、マスターは凄いんです。
え?
僕の収入ですか?
最近は月に1万ミーニャンほど、マスターの収入からお小遣いという形で渡されてます。
僕はマスターと一緒に居るだけで幸せですから、これでいいんです。
お金が足りなくなったら経費で生活必需品や家具を買えますし。

 by  ペットのエミール君

〈エジプトの大都市スエズ 空を飛んでる飛行船〉
【エミール視点】

とうとうランヌ元帥達がフランス本国に帰る日がやってきました。
なんだかんだいって、一ヶ月ほど彼らはスエズに滞在していたと思います。
その間、トレーディングカードゲームで遊んだり、大型書店を珍しそうに見て書籍を買い占めたり、電気屋さんで電気製品を片っ端から買い漁ったりと、信じられない散財っぷりをしてました。
さすが大陸軍の元帥。
大金持ちです。
そこに憧れて痺れます。
最後の日って事で、飛行船に大金払って乗船して最後のスエズ観光しようってところが良いです。
僕、空飛ぶ乗り物が大好きなんです。
優雅にゆっくりと空を飛ぶ巨大な飛行船。
飛行船の下部にあるゴンドラから地上を見下ろすと、スエズの町並みが絶景だから好きなんです。
短期間で大きな工場がいくつも作られ、都市内を電車が走り、大型ショッピングモール〈ミーニャン百貨店〉がお客達で大繁盛している光景が見えました。
これも全て、マスターの人徳故の大発展。 
どれもこれも世界初の設備ばっかりです。
偉大なマスターのペットになれた僕は、世界一の幸せ者ですよ。
……思えば、僕も遠い場所に来たものです。
日本の島津(現代の薩摩)で生まれ、戦闘民族島津人の首切り攻撃から逃げるように故郷を旅立ち、ようやく出会えた初めての同族がマスターだった。
こんな奇跡、普通じゃ絶対起きません。
きっと、僕の事を見守るご先祖様達がマスターと僕を出会えるように後押ししてくれたんだと思います。

『未だにこの二人が結婚してない件 by 結婚の神様』

頭に謎の声が響きましたが気にしない事にしました。
この世界では良くある事です。
今はそれよりも、ランヌ元帥達と一緒にしっかり最後の観光旅行をして、辺境伯領に好印象を抱いてフランスに帰ってもらう事が先決です。
この辺境伯領の未来のためにも、マスターのためにも、しっかり接待……は、マスターの方が慣れていて上手いですから、僕の出番は特にありません。
ランヌ元帥がいる方向を見ると、ワンピースドレスを着たマスターと一緒に窓の外を見て会話してました。
二人ともとっても楽しそう。
話題の内容がナポレオン陛下な所が本当にすごいです……。

「え?
ナポレオン陛下って何回か自殺未遂をした事があるんですか?」

マスターが呆然としてます。
それはそうです。これ、たぶん、ヨーロッパ帝国の機密ですよ。
ランヌ元帥、白髪頭を掻きながら、平然とこんな事をばらして良いんですか?

「ああ、ナポレオンはな。
貧乏貴族だった頃は、世界に絶望してたらしいんだよ。
昔のフランスは、高い身分じゃないと軍で出世できないガッシリとした固まった環境だったからな。
どんだけ頑張っても、冷遇されちゃやる気起きないだろ?
特にナポレオンは実際に皇帝になってしまうくらい馬鹿げた野望の持ち主だ。
少尉の地位を与えられても満足しない、少将の地位や将軍の地位を手に入れても、たくさんいる将軍の1人でしか居ないと自ら恥じて、ひたすら上を目指す最強の俗物だ。
だから、当時、少尉になったばかりのナポレオンは階級社会で凝り固まったフランスそのものに絶望して自殺したいと思っていたらしいんだ。
士官学校時代はたった11ヶ月で卒業した上に、勉強ばっかりで友達を作らなかったから寂しい時期を過ごしていたらしい」

「……でも、ナポレオン陛下が自殺してないって事は、自殺願望と上手く付き合えてるって事ですよね?」

「当時は自殺なんかしなくても、身分階級全部吹っ飛ばすフランス革命が起きただろう?
王様も王妃も貴族も平民も外国人も裁判で次々と処刑台送りにして、首がギロチンで空飛んでポポポーン!って凄かった時代だからな。
わざわざ自殺しなくても、何時、死ぬかわからない状況に置かれたから、ナポレオンは生きるために必死になって滅茶苦茶頑張って昇進して成り上がって、気づいたら自殺願望を抑えられるようになったらしいぜ。
あいつにとって、あんなに酷かった大惨劇フランス革命すら自分の人生を救ってくれた救世主って事なのさ」

「……陛下は本当、凄いですよね。
私がもし、陛下の当時の立場(貧乏貴族)でフランス革命が起きたら、すぐに外国にエミール君連れて逃げちゃうかもしれません。
自力でどんな苦境すら乗り越える逸話を見ると、自分とは遠い人なんだなって思いました」

「はははは、こんなに領地を大発展させた張本人がそんな事を言ったら、ナポレオンはきっと嫉妬すると思うぜ!
この地で飛行船とか高層ビルを見たとき、俺、超驚いた!
ナポレオンだって銀行作ったり法典作ったり常人ではありえないほどに凄いけど、まさか生きている間に飛行船やラジオなんてものが開発されるなんて思ってもみなかったぜ。
もしも、ナポレオンと出会う前にアンタに出会えていたら、きっと俺はあんたの所に仕官してたと思う」 

ランヌ元帥が大笑いしてました。
僕的には、マスターもナポレオン陛下も同レベルの偉人だと思います。
どっちも普通の人間じゃ不可能な事をやって、広大な国を得ている時点でありえないです。 
この事を語っているランヌ元帥も凄い人です。
確か、ランヌ元帥は小作農民兼厩務員の子供で、士官学校にも通ってないのに歩兵少尉から軍歴スタートして元帥まで出世した叩き上げだと僕は聞いています。

マスターは褒められた事にちょっと恥ずかしそうにしながら、ゆっくりと僕の尻尾に触ってモッフモフしながら優しい声で返事を返しました。

「領地は発展しましたけど、私は特に何もやってませんよ、ランヌさん。
皆が頑張った結果です。
私1人だったら何も変わってなかったと思います。
私以外が指導者でも、きっとスエズやエジプトはこんな風に大発展して、高層ビルが乱立して、飛行船が大量に飛ぶ環境になっていたと思うんです」 

「謙遜する事はないぜ。
ミーニャン、あんたは立派な領主……いや、王様だ。
ナポレオンだって、今じゃあれだけ巨大な大帝国を築き上げているが、ただの英雄だった頃はチンチンが小さい事をスタール夫人に馬鹿にされたりセクハラしたり、浮気したり、エジプトで作った女を捨てたり、親友のドゼー将軍が戦死して成仏して復活不可能になった時は大泣きしてたんだぜ?
それに比べたら、あんたは大したものだよ。
ナポレオンは貴族や王族の財産没収してたから、ヨーロッパ中を敵に回す大戦争や、劇的な改革ができたが、あんたの場合はお金もほとんどなかったのに領地を今じゃ大発展させてる。
こりぁ今までの人類史を見渡しても、誰もやり遂げた事がない偉業だと俺は思うね。
ローマ帝国の借金王カエサルや、マケドニアのアレクサンドロス大王でも、こんな事は不可能に違いない」

僕もランヌ元帥の意見に賛成です。
マスター、あなたは自分を過小評価する傾向にありますが、マスターのおかげで救われた人達がたくさんいるんです。
ゴンドラから地上の光景を見下すだけで、幸せそうに街中を歩いている獣人の家族、人間達がたくさん見えます。
彼らの幸せは、マスターが居たからこそ成り立っており、もしもこの地にマスターが居なかったら、今頃、獣人達は暗黒大陸アフリカの大魔境や辺境で、時空すら歪む自然環境に苦しみ、こうやって落ち着いて生活できなかったと思います。
……?
マスターが僕の尻尾を触るのをやめて、そっと僕の頭を胸元で抱きしめてモッフモフしました。
とっても心地よさそうな顔で、僕の狐耳触って幸福そうです。もっふふー。

「ランヌさん。
それでも私は自分が凄い事をやったとは思えないんです。
エミール君が居なかったら、私は領主の地位に就いていません。
狸人のタヌキモンが居なかったら、辺境伯領は劇的な政策に挑戦すらしなかった。
廃人冒険者の皆が力を貸してくれなかったら、この地はとっくの昔にオスマン帝国に侵略されて今頃、私はメフメト2世の子供を妊娠させられていたと思います。
銀行のシステムや、キリスト教徒からの迫害を逃れて移住してくるユダヤ人の大商人が低金利でお金を貸してくれなかったら、今の辺境伯領の姿はありえなかったと私は思っているんです。
だから、私は自分が凄いんじゃなくて、皆のおかげなんだとそう思えます」

マスター、良い人すぎます。
そんなに僕の頭を撫で撫でされると気持ちよすぎて……モッフフーとしか言いようがありません。 
最近、マスターの撫でる技術が上がりすぎて凄いです。
このモッフモフを受けたら、マスターの事を嫌いになれる獣人は絶対居ません。 
ランヌ元帥は何かを言おうとしましたが、飛行船のゴンドラ内で響いた大きなピアノの音に遮られました。
音の発信源はゴンドラ中央に設置されたピアノで演奏しているベートーベン、その隣にはスーパーアイドル『ニャンコ・ノ・ルナ』さんがいます。
幼い外見を持つ銀髪の猫人の少女で、スカートが短いメイド服を着てて可愛いです。
ルナさんはマイクを手に取り、溌剌とした大きな声で

「皆っー!
今日は空の生ライブに来てくれてありがとうー!
愛してるっー!」

その声にゴンドラ中で、旗を振り回しているお客さん達が答えました。

「キタキタキタッ!生ルナちゃん!」
「30万ミーニャンしたから期待しているぜ!ルナちゃん」
「俺も愛してるー!結婚してくれー!」

とんでもない大熱狂です。
プロマイドが通算3000万枚も売れたスーパーアイドルの人気は伊達ではありません。 
ルナさんは客の応援に気を良くして、歌い始めます。
その声色は脳みそを溶かされそうな感じに中毒性たっぷりの色っぽい声。
マスターがモッフモフの達人だとするならば、ルナさんは歌の達人。
その声に観衆は惹かれて、熱く盛り上がってます。

「新曲!
死んだ英雄に捧げるエロイカ!」

狐娘のマスターも素晴らしいですけど、猫娘のルナさんも素晴らしい女性です。
真っ白な肌、客に自然と媚びを売る技術、スカートの中のパンツをギリギリ見せない激しい踊りパフォーマンス。
どれをとっても素晴らしい。
ベートーベンが奏でる曲は、まるで英雄の凱旋を音で表現したとしか思えない高クオリティー。
萌え音楽家になる前は、クラシック音楽の巨匠と呼ばれたベートーベンの実力に納得しました。
マスターも楽しそうに僕をモッフモフ抱きしめながら目を瞑って、ルナさんの歌に狐耳を傾けてます。

「死んじゃった~死んじゃった~英雄は死んじゃった~
あなたの理想を~覚えていますか~?
あの日見た空を覚えてますか~?
何時か、あなたは思い出すでしょう~。
民衆のために戦ったあなたが~何時からか、倒すべき悪になっていた~
全てを突き抜ける~剣になってしまった~
悲しみをばら撒く悪の権化にどうしてなってしまったの~
所詮、俗物~。
強がって傷ついているのに~その欲望が世界を飲み込んで交差しちゃうの~」

歌詞は酷いですけど、ルナさんの声が最高です。
中毒になります。
もしもマスターという大切な人が居なかったら、ルナさんの追っかけをやっていたかもしれません。
……あれ?
この歌。
ナポレオン陛下を批判する内容じゃ?
民衆の代表から皇帝(専制君主)になってしまった陛下を侮辱する内容?
そ、そんな事ないですよね?
というか、ランヌ元帥と、いつの間にかルナさんの近くで踊っているダヴー元帥!
二人共アイドルコンサート見て大喜びしてます!
これが男の悲しいSAGAなのかもしれません。
男は可愛いもっふもふな美少女を見るだけで元気になっちゃうんです。
マスターも狐娘をピョコピョコさせて楽しそうに生ライブを鑑賞中、僕はそんなマスターを見て癒されました。
最後の日なのに、こんなので本当にいいのかなぁ?と思いますが楽しいからこれでいいんでしょう。ええ。
2時間ほどルナさんの声が、飛行船のゴンドラの中に響き渡り、場にいる全員が元気を出してワイワイ大騒ぎ。
ここは辺境伯領、素敵な獣耳アイドルがいる良い場所です。
獣人もオークも人間もエイリアンもイスラム教徒もキリスト教徒もヒンディー教徒も皆がルールを守って仲良く暮らせる理想郷なんです。
幸せな気分になったら、このセリフを吐くのが常識。
モッフフー。









コンサートの後、飛行船がゆっくりと巨大な専用飛行場へと降り、ダヴー元帥とランヌ元帥は連れてきた部下と買いあさった道具を全部集めて、フランスへと帰るためにスエズ駅発の電車に乗り、僕とマスターは二人が乗る電車に向かって手を振ってお別れしました。
最近、アメリカ大陸で大英帝国軍とフランス大陸軍が衝突して戦争しているとニュースで報道されてましたし、これから忙しい日々が彼らに待っているんだと思います。
戦争って嫌ですよね。
皆、マスターみたいに落ち着いて、抱きついてモッフモフしてお互いの存在を確かめ合う社会になれば素敵なのに、現実は儚いんです。
ランヌ元帥達が電車の窓を開けて、マスターへとブンブン手を振って返事のお返しを、ずーと繰り返している所に好感と寂しさを抱きました。
電車が地平線の彼方へと消えると、僕とマスターはスエズ駅から離れて、お互いに手を繋いで領主館へと向けて帰る帰路です。
明日から仕事の日々。
皆の笑顔を作って守る素敵な仕事。
辺境伯領のあちこちを視察して、領民達の信頼を勝ち取るマスターにしかできない仕事が待っています。
空は太陽が落ちてもう真っ暗。
都市中に備え付けられた電灯の青い光が、街を照らしていて幻想的です。
マスターの手から伝わる暖かい温もりを感じるだけで、不思議と僕の心臓がドキドキしました。
騒がしい二人が帰った反動なのか、今の静かな時間が新鮮です。

「ねぇ、エミール君。
エミール君は今、幸せかな?」

歩きながらマスターがそう問いかけてきました。
どういう意図があるのか分かりませんけど、僕はマスターの顔の方向を見て答えます。

「マスターと一緒にこうして同じ時間を共有できるだけで、僕は幸せ者ですよ」

「私も幸せだよ。
毎日、休日も付き合ってくれてありがとう。
ランヌ元帥とダヴー元帥が帰って、ちょっと寂しいよね」

僕は、このまま時間がずっと止まればいいのにと思った。
今が一番幸せな気がするんです。
でも、この幸せを失う未来が待ち受けているかもしれないから未来が怖い。
世界が終わるその日まで、大好きなマスターとこうして一緒に居られたらいいのに……。
手に入れた幸せを二度と離したくありません。
ふと周りを見渡すと、僕とマスターのように手をつないで歩いている親子連れ、カップルがたくさん居て誰もが幸せそうでした。
彼らも、僕みたいにこの時間がずっと続けばいいのになぁと心の中で思っているのでしょうか?
僕達、獣人は、イエス・キリストを虐めたせいで迫害されまくってるユダヤ人以上に差別されてきた歴史を持つだけに、きっと皆、それぞれ苦労した人生を送っていると思います。
日本に居た頃(1000年以上前)は狸人と狸は、人間の狩人に殺されて狸鍋にされている光景を見ました。
海を出て、日本の西にある唐という国に行ったら、動物から生きたまま皮を剥ぎ取って殺すのが普通だったから危うく殺されそうになりました。
品質の良い毛皮を取る。
ただ、それだけの理由で生きたまま皮を剥がれて殺される膨大な数の動物を見て、ここは地獄だと思ったんです。
人間から見れば動物と獣人は、いい毛皮が取れる商品。
僕はマスターと出会うまで、ずっと人間不信で生きるのが辛くて感情も忘れそうだったんです。
ありがとう。
マスター、ありがとう。
この辺境伯領という安住の地をくれてありがとう。
ここの土地で販売されている商品は、動物を犠牲にして作った製品は決してありません。
肉は大豆で作ったヘルシーな代用肉。
毛皮製品の代わりに、科学繊維という新しい素材で作った衣服。 
ここは獣人と人間、えとその他諸共が仲良く暮らせる理想郷なんです。
この理想郷を壊す悪がいるとしたら、皆、手を取り合って団結して戦うに違いありません。
辺境伯領を失う事は、また迫害と差別と毛皮コートと食用肉にされる世界へと逆戻りする事を意味します。
昔に戻るくらいなら、徹底抗戦して死んだ方がマシだと考える獣人はきっと多

どかーん!

200mほど離れた場所で大きな火花が爆発音とともに上がりました。
あそこは確か、都市スエズの電力インフラの根幹をなす電気魔法発電所がある場所です。
発電所を破壊されたら、機械が動かなくなって工場が停止して都市は大打撃を受けちゃいます。 
憎い、憎いです。
きっとオスマン・トルコ帝国のメフメト2世による破壊工作。
辺境伯領が最も嫌がる事を平然とやってきた、そういう事です。 
戦争だから相手の嫌がる事をやるという事は、一応、僕の頭では理解できます。
でも、僕とマスターの幸せな日々を壊そうとするなんて許せません。
僕以外の獣人の皆も、この卑劣な行為にきっと怒ってます。
メフメト2世許すまじと。











【オスマン帝国の諜報員 ムハンマド】 

誰でも良いから、き、聞いてくれ!
え?それ以前に俺が誰か聞きたいって?
俺はオスマン帝国の奴らに家族を人質に取られて、ミーニャン辺境伯領で破壊工作をするように命令された諜報員の1人だ。
辺境伯領が最も嫌がる事は何なのか調べて突き止めて、都市中に電力を供給する発電所って奴がこの都市最大の弱点だと思って、破壊しに100人ほど仲間のオーク連れて襲ったらすぐに返討ちにあった。
な、何を言ってるかわからないかもしれないが、俺にもわからねぇ。
この都市の発展ぷりそのものが異常すぎて、俺は夢の世界に居るんじゃないか?と毎日心の中で問い続ける日々だ。
おっと、話を戻すと発電所の中に一斉に100人が突入したら、そこは電気属性魔法を唱えまくって壁に向けて乱射している魔法使いが数十人いる魔窟だった。(魔法使いは電気を通さない緑色の絶縁体で体を覆っている)
リーダーと思しき、真っ白な髪のウサギ人の美少女が魔法使い達を罵倒する声が大きな部屋に響いている。

「サンダー!」 「サンダー!」 「サンダー!」 「サンダー!」 「サンダー!」 「サンダー!」 「サンダー!」「疲れた」

「諦めるな!!それでもキサマらは男か!
スキルは使い続ければレベルが上がって威力が激増して廃人冒険者並になるんだぞ!!諦めんな!まだまだ魔法唱えられる!諦めたら特別ボーナスが出ないぞ!頑張れよ!腹の底から力を出して頑張れよ!
Lv30しかないレベル冒険者を、高待遇してくれる、こんな素晴らしいホワイト企業はそうはないぞ!
貴様ら!それでもキン●マ生えてるのか!?
男なら気張れよ!お前らなら出来るって!
私は仕事ができる男が好きだぞ!」

「水着姿のウサギ美少女に罵倒されて最高!サンダー!」

「よし!あとでお前、私の部屋に来い!
ベットで可愛がってやる!」

「やったーサンダー!」

気づいた時には、破壊工作員100人は、部屋中に飛び交ってる電気属性魔法浴びて爆発炎上していた。
全員が信じられない高いエネルギーの電気の力でドカーンと爆発して、黒い燃えかすと化している。
俺は前方にいる仲間達が瞬時に死んだから、すぐに反転して場から逃げようとしたが、外に出た途端に後ろから飛んできた電気属性魔法で爆発炎上して燃えかすになった。
今の俺は幽霊なんだ。
すまん、故郷で待つ息子達よ。
俺は帰れない。
次に会えるのは世界の終末の日。
アッラーによる最後の審判が下される最後の日だけだ。
天国で会おう。愛しい家族達よ。

『なんでわっちを信仰する奴ら居ないんじゃろう?アッラーやヤハウェ、仏ばっかり信仰されて悔しいのぅ悔しいのぅ by 電波神』

ウサギ人の美少女は俺達が侵入してきた事に気づいたようだが、俺らの死体をチラッと見た後、無視して魔法使いへの罵倒を続けた。
なんで露出が多いセパレートのエッチな水着を着て、彼女が男達を罵倒しているのか、俺にはさっぱりわからん。
不思議な事に魔法使いの男達はウサギ人美少女に罵倒されて幸せそうだった。
ウサギ人美少女の罵倒が何時までも何時までも、この電気魔法を乱射しまくる魔法使い達の周りで響いていた……。

「本気になればお前らは変われるんだよ!
諦めんなよ!もう少し頑張って根性を見せろよ!
もっと熱くなれよ!熱くなれば人間変われるんだよ!
出来ないと思っているから無理なんだよ!
MP0になってもHPを削ってMPに変換できるスキルを覚えたら魔法を使えるだろ!
一生懸命生きてたら不思議と疲れないんだよ!
死んでも蘇生魔法で蘇るだろ!
ナポレオン陛下を見習えよ!あの人凄いだろう!
貧乏貴族なのにヨーロッパを支配した努力の人だろ!
草原の偉大なる蛮族チンギス・カーンとかすげぇ草原の勇者だろ!
あいつらだって頑張ったから、世界帝国作れたんだぞ!
人間の努力を舐めんなよ!
諦めずに頑張れば、達成できるんだよ!」

比較対象が凄すぎる。
偉大なるアッラーに愛されるレベルの幸運がないと、成功し続ける人生なんて無理だと、俺は幽霊の状態でそう思った。



あとがき

日本のKAROUSI文化の異世界輸出

ナポレオン「俺がFateの聖杯戦争に召喚されたらどうなるん?」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/04/fate.html
ナポレオン「70万人の兵力投入したロシア遠征の生還率が1%以下な件。フランスに戻った時、5000人しか居なかった」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/04/7015000.html
ナポレオン「俺達がロシア遠征やった時、あいつら首都モスクワを放火して焼け野原にして凄すぎる・・・普通、そこまで徹底的に焦土作戦やらんだろ。首都をなんだと思ってるんだ。」
http://suliruku.blogspot.jp/2015/04/blog-post_24.html 



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