1章エピローグ ~テン・プレ王国の誕生だお~

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公開日: 2015年2月11日水曜日 自作小説 迷宮都市の王さま ~国家運営したいのに迷宮が邪魔すぎる件~









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迷宮都市の王さま ~国家運営したいのに迷宮が邪魔すぎる件~HP
     約10km 
水水水水水水水水水水水水水水水水湖

水                       湖

水                        湖
水約10km         
水       岩山    
水        
水         俺             湖


水      約10km   
水水水水水水水水水水水水水水水水水水  

岩山の周りに残っているモンスターは、倒す必要すらなかった。
岩山内部の都市へと通じる入口に俺がオリーシュ・バリアーを展開し、その後ゆっくり山頂でハーレムして過ごせば、勝手にモンスターが殺しあって数を減らし、残りは食料を得られずに餓死して全滅した。
飲み食いの必要のないアンデット系のモンスターは、知能が低すぎるが故に工事中に塹壕に嵌って、そのまま水没してダメージを蓄積させて死亡したから既に居ない。
だから、今、俺の目の前に500人の若い人間達が次々と狭いトンネルの中から出てきて、自由に人間が闊歩できる大地を踏みしめて感動していた。
今までモンスターが闊歩していた超危険地帯だった事を彼らは知っているから、最初は信じてない顔だったが、今は大喜びで、俺に土下座して忠誠を捧げている。
俺 = 背中から真っ白な羽が生えてる = 大天使 = 神の御使い = 実際に奇跡としか思えない大工事を短期間でやり遂げたから、信仰の対象になってしまったんだ。
彼らは口々に俺を褒め称えた。

「おお!天使様!」
「神様はこの地上を見捨ててなどいなかった!」
「おお!ありがたや!ありがたや!」
「天使様万歳!」

俺に権威がある事は良い事だ。
それだけ人民に反対されずに俺が王様につけるという事だ。
人助けをするためにも、嫁達を守るためにも権力が必要だと俺は思う。
スターちゃんは俺の隣に寄り添い、まるで人民達に見せつけているとしか思えないくらいに俺に好意を示していた。

「天使様、天使様。
あなたのおかげで人民は笑顔です。
ありがとう、本当にありがとうございます」

スターちゃんが涙を流しながら満面の笑みになった。俺、幸せしゅぎる。
スターたん、まじ天使。
俺は幸せ者だ。
そういえば、まだ俺の名前をスターちゃんに言ってなかった。
これから夫婦になるんだから、名前くらい教えないと駄目だ。

「スターちゃん、まだ俺の名前を知らなかったな?」

俺がそう言うとスターちゃんは首を横に二回振って

「テレサさんから、天使様の名前はテンプレだと伺っております。
それよりも……責任とって僕と結婚してくれますよね?」

「あ、ああ。
スターちゃん達と結婚する。
俺は皆を幸せにしたいんだ。
産まれてくる子供達のためにも、安住の地を与えたい」

「じゃ、僕が正妻で、テレサさん達は側室という事で良いですか?
そうしないと人民達が納得しないんです。
一応、僕はメキシコ王族最後の生き残り、天使様はこの地の王様になる覚悟があるんですよね?」

俺は返答に困った。
嫁達に優劣なんてつけたくない。
だけど、この国の姫様であるスターちゃんと結婚するという事はそういう事なのだ。
スターちゃんを正妻にしない事は、この人民達に対してとても失礼なんだ。
俺の隣にいるテレサとアリサは、スターちゃんの発言を聞いて俺の事をじーと不安そうな顔で見つめている。
一夫一婦制の現代日本に生まれた俺には、正妻や側室という感覚がさっぱり分からない。
確か正妻が偉くて、側室は夫の愛人のようなものだから地位が低かったはず。
しかし、俺は……3人を平等に扱いたい。
正妻や側室などという軛で彼女達を区別したくないんだ。
だから、スターちゃんに俺はこう言うしかなかった。
500人の人民に対して失礼かもしれないが、それ以上の利益を彼らに与えてやれば納得してくれるはずだ。

「……ああ、確かに俺はこの地を治める王様になろうと思っている。
だが、メキシコ王国を再興する気はないんだ。
スターちゃん」

スターちゃんが動揺して、身体をビクンっと震わせた。
俺に裏切られたのだと思ったのだろう。

「て、天使様?
僕と結婚するという事は、王朝を継ぎ、民を率いて国を再興するという事なんじゃないんですか?」

「いいや違う。
俺は俺の王国を作る。
メキシコ王国はもう滅び、後の歴史に過去に存在したんだと記されるだけの存在になったんだ。
スターちゃん」

「……そ、そうですよね。
人民が幸せであれば、国の名前がどう変わろうと良いですよね。
すいません、天使様」

スターちゃんが頭を下げてきた。
俺の心が痛い。
俺だって出来れば、スターちゃんのためにメキシコ王国の名前を残して上げてもいいと思ったさ。
だが、その王国の名前を継ぐということは、テレサちゃんとアリサちゃんを側室として扱って差別する事になる。
俺はそんなの嫌だ。
一番幸せにしたい女の子達を正妻・側室という壁を作って差別するのは嫌なんだ。
後継者問題が大変かもしれないが、俺が生きている間に退位して、息子に引き継がせれば後継者争いは起きないし大丈夫だろう。
民主主義国家にしても良いかもしれないが、この地には民主主義をやった前例がない。
今の状態で民主主義をやれば、現実の地球みたいにきっと失敗するだろう。
フランス革命をやって、粛清ショーだらけの恐怖政治になってしまった奴らの二の舞はごめんだ。
……こんな後の事まで俺が考える必要はないな。
こんな問題は後世の連中に託せば良い。
俺が今やる事はただ一つ。
国家樹立宣言。
単純作業ばっかりやってきた俺が、人口500人の小国家の王様になるんだ。
演説のやり方は、以前、パルメ(´・ω・`)さんの本で読んだアドルフ・ヒトラー(ドイツの独裁者)のやり方を参考にしよう。
ちょうど時刻は綺麗な夕日が美しい夕方。人の心のバリアーが一番弱まる時間だ。
俺は息を大きく吸い、土下座している人民500人に向けて大きく叫んだ。

「頭を上げるのだ!ドイツの民族諸君!!」

この声とともに人民達は頭をあげて俺を見た。
500人の期待がこもった視線。「ドイツってなんだ?」って視線が俺を見ている。
俺が幸せにしてやるべき人間達だ……うん、緊張して間違ってドイツと叫んですまない。メキシコって言うべきだった。
俺だって人間だから間違いがあるんだ。
よし、ヒトラー式演説をやるぞ。
つまり【あまり具体的な政策を語らない】【同じ言葉を繰り返して人民に覚えさせる】【二者択一を迫らさせる】【激しいジェスチャー】だ。他にも色々あるがたくさん考えると頭がパンクするからこれでいい。
俺は初心者だから上手くいかないかもしれないが、ヒトラーの物真似をしてみせる!
ヒトラーの演説はちゃんと良い講師に教えてもらった末に出来た産物だから、俺には辛いけど頑張る!
テレサちゃん達の幸せのためにも頑張るぞ!

「今日ここに!メキシコ王国を廃し、俺が治めるテンプレ王国の樹立を宣言する!」

500人人民が唖然として口を大きく開けていた。俺の言葉にどう対応すればいいのか分からないようだ。
俺は右腕を30回回転させながら演説を激しく続ける。

「今や人類がかつての栄華を得るための前提条件は達成されたと俺は思う!
この前提条件を勝ち取る事こそが、君たちの苦悩の日々の目的だったのだ!
すなわち!俺の降臨!
俺は決して虚言を弄したり、誤魔化したりはしない!
何時いかなる時も、俺は人民に対して妥協したり口先だけの甘言を呈したりすることを拒否するものである!」

しばらく誰も反応しなくて重い沈黙が支配したが、30秒ほどすると、パチパチと、テレサたんが拍手してくれた。
人民達もそれに釣られて、パチパチパチと拍手して、500人の拍手で場が満たされた。
おお、さすがヒトラー式演説。
俺も言っている意味が分からなくなりつつあるけど効果があるぞ。たぶん演説内容を冷静に検証したら矛盾だらけになっている気がするけど、俺は気にしない。
次は空を飛びながら演説をしよう。
一気にジャンプして空を高速飛行しながら激しくジェスチャーして演説!

「人民よ!
自由や幸福や生活は、突然、俺のように空から降ってくるものと思うな!
全ては俺たち自身の意志と行動にかかっているのだ!」

空を飛んで、円を描くようにグルグル回っている俺を人民が見て、口をポカーンと開け、とても驚いていた。
俺は右腕をたくさん振りまくり、ヒトラー式演説を頑張って続ける。

「他所の助けを待つな!
俺たちが作る国家、俺たちの民族以外からの助けを頼むな!
ほとんどの国家と文明が滅び去った今!
俺たち自身の努力が、民族の将来を左右するのだ!」

この言葉に、人民達は奮い立った。
両腕を上げて喝采を叫ぶ。

「うぉー!テンプレ王万歳っー!」「そうだぁー!俺たちの努力で俺たちを救うんだぁー!」
「万歳!王様万歳!俺はあんたについていくぜ!」
「さすが主様じゃのぅ。意味がわからんけど凄い」
「……主殿、パルメ(´・ω・`)さんの本に書いてあったアドルフ・ヒトラーの演説をそのままパクっていますな」

よし演説の効果は抜群だ。
このまま空をグルグル飛びながら演説を続けよう。

「俺たち自身が民族を!労働!勤勉!不屈さ!頑強さによって繁栄させるのだ!
そうして始めて、俺たちは君たちの祖先と同じ高みへと再び上り詰める事ができる!
かつて祖先も世界を無為に貰ったのではなく、己の力で築き上げたに違いないのだから!」

人民達による喝采はどんどん熱を増し、俺の名前を叫び続けた。

「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」「テンプレ!」

これが独裁者の幸福。
大勢の人民達に尽くされる圧倒的な特権。
ヒトラーが道を踏み間違えて、祖国ドイツを絶望的な第二次世界大戦へと引きずりこんだのも分かる。
この特権、手放したくないよな。
大勢の人間が権力者(俺)のために忠誠を捧げるなんて最高だ。
でも、俺は何時か、この特権を息子に譲り渡す。
そう決めた。
特権は人を腐らせるという歴史学者の言葉がよくわかった。
これほどまでに権力とは素晴らしいものだと実感したら、普通の人間はおしまいだ。
権力を維持するために、大量虐殺をやったドイツのヒトラー、ソ連のスターリン、中国の毛沢東、台湾の蒋介石みたいな奴らになってしまう。
何時か、この権力を捨てるんだと覚悟を決めないと駄目だ。
そして、演説を盛大に締めくくろう。
俺はスターちゃんが立っている元の場所へと再び降り、スター、テレサ、アリサちゃんの3人を同時に抱きしめ、最後の演説をした。

「人民よ!
俺に1000年の歳月を与えよ!
しかるのちに俺を判断せよ!
誓おう!俺はこの場にいる三人の美少女を嫁にする事を!
そして!王様に就いた以上!俺は突き進む事を誓おう!
俺は人民と女達のためにのみ行動するのだ!」

俺の宣言に人民の喝采の声が辺り一面に響き渡った。
はっきり言って私利私欲に満ちた暴君の発言だと俺は思う。
でも、皆を幸せにしたい気持ちだけは本物だ。
工場で単純作業しかできなかった俺が、この世界では一つの大陸を支配する王様なんだ。
未だに版図は大陸のごく一部しかないけど、何時か、大陸全てを手中におさめて、皆が幸せになれる未来を作ってみせる。





こうして、この日、テンプレ王国が誕生。
この年をテンプレ王国歴1年と定め、人類は再び、ゆっくりとこの世界で、かつての覇権を手に入れる道を歩み始めた。






あとがき
(´・ω・`)たんぽぽロード





4 件のコメント :

  1. (´・ω・`)毎日更新している作者は純粋に凄いと思いますお。
    週5日更新でもかなりキツイ

    返信削除
  2. たんぽぽ天使がたんぽぽ王にクラスアップですか。

    返信削除
    返信
    1. (´・ω・`)たんぽぽ王、素敵な響き

      削除
    2. テンプレ蒲公英王(テンプレ・ザ・ダンディライオン)

      削除

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マザーテレサ(ノ●ω●) 人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。 自分はこの世に不要な人間なのだと思い込むことだ。