【ラッキーの不思議な旅】 17国目 チュリープバブルの国 後篇

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公開日: 2014年9月29日月曜日 ラッキーの不思議な旅 自作小説


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17国目 チュリープバブルの国 後篇
ラッキーは衝動的にオランダ少年を殴り飛ばして、気絶させてしまいました。
少年は店の床に倒れています。
ラッキーは小さい声で呟きました。

「あ、うっかり殴ちゃった。」

「・・・・ラッキー、罪もない人を殴るのは良くないと思うの。
お詫びに1年くらい付き合ってあげたら?
どうせ僕達、暇だし。」

妖精さんが頭の上で呆れています。
兎にも角にも、これがラッキーとオランダ少年が1年間、恋人として付き合う切欠となったのです。






1年間の間に、ラッキーはオランダ少年の金払いの良さに付け込んで、デートの度に物を買わせて貢がせたり、黄金や宝石を買わせたりとやりたい放題。
少年は、ラッキーに貢ぐ金を得るために、チューリップ取引に余計にのめり込み、一日に何十回と取引して大金を得ていました。
最近だと、持ち運ぶと危ない大金で球根が取引されているため、手形(多額のお金のやり取りを一枚の紙でやれるシステム)で取引されています。
実際には払えるはずもない金額の手形が次々と作られ、実際のお金を全く動かさずにチューリップ売買が成り立ち、球根一つで家が買える値段になっていました。




そんなバブル経済も末期になりつつある状況の中、今日も少年は、チューリップの球根を持って、市場まで走り、大金を稼ごうとしていました。
最近は、球根の売買をしても得られるのは手形だけなので、貨幣を得られず、ラッキーとのデートをするための金が少なくなりつつありますが、少年はとても笑顔です。
金髪の可愛らしい女の子ラッキーと恋人になれて、未だにキスすらしてない初々しい関係ですが、少年の脳内では薔薇色の未来が広がっています。
このまま大金を簡単に得られる生活が続けば、将来は安泰なのです。
何時か、 手 形 を 現 金 に 変 え ら れ る と 思 っ て い ま す 

(僕はなんて幸運な男なんだろう!
ラッキーちゃんは、不思議な娘だけど、良い娘だ!
ああ!何時になったらキスを許してくれるんだろう!?
いつも、キスしようとするだけで・・・僕が殴られてツンデレすぎるよ!ラッキーちゃん!
可愛いけど、身持ちが硬過ぎだよ!?
あと何年、僕はこの純情を耐えればいいんだいっ!?)

そんな妄想をしながら、少年は市場に到着しました。
すぐに顔見知りの初老の商人を見かけたので、手持ちのチューリップの球根10個を売ろうと声をかけます。

「そこの商人!
僕のチューリップを買ってくれたまえ!
一つ金貨10000枚の手形で売ろう!」

「あー、オランダか?
すまんな。その値段じゃもう買えないんだわ。」

「え?!」

「ほら、周り見てみろ。」

商人に言われたとおりに、オランダ少年は周りを見ました。
すると、そこでは大勢の人間達がチューリップの球根を売ろうとしているのに、誰も買い手がつかない光景が見えます。
球根を片手に騒いでいる姿が滑稽でした。

「なんでチューリップが売れないんだよぉー!」
「誰か買ってくれぇー!買ってくれないとオラは破産するだぁー!」
「このままじゃ借金であばばばばばばばばば!!!」
「借金して、ようやく球根を買ったのにこの有様だよ。」

慌てる彼らを見て、少年は驚愕しました。
まさか、こんな事になっているとは思ってもいなかったからです。
少年は商人に詰め寄って叫びました。

「なぜだ!?
なぜ、チューリップを買ってくれないんだ!?
昨日までは買ってくれたじゃないか!?」

「昨日まではな。
でももう、そのチューリップには大した価値がないんだよ。
残念だったな。オランダ。
俺は仕事で忙しいから、またな。」

商人は少年を無視して、近くに来たお客さんと新しい商談を始めました。
どうやら、この商人は将来的にチューリップの超高値が崩壊する事を予測した上で、勝ち抜いて大儲けしたようです。
少年は困りました。
国中の人間達も困りました。
今まで、チューリップの売買をやるだけで大金を得てゆっくり出来たのに、今では・・・膨大な借金を背負った債権者になってしまったのです。
手形でありえない金額で取引していたため、40か国以上の人間を巻き込み、少なくとも30万人以上の人間が一生かけても払え切れない金額の借金を背負った事になります。
地球のオランダのチューリップバブル崩壊の場合は、実体経済に何らダメージを与えませんでしたが、この国のバブルは周辺国を巻き込んだ上でのバブル経済だったので、大きな後遺症が経済に残ります。
1国だけなら取引停止などの措置で何とかなりますが、複数の国が絡むと、ややこしくなり、そう簡単に解決できなくなるのです。
結果的にオランダ少年は、ラッキーとの結婚生活を考えて、大金を稼ごうとチューリップに投資しすぎたせいで、家を10件買えるほどの莫大な借金を背負う事になりました。
少年は必死に、街中を走り回り、チューリップの球根を売ろうと必死になりますが、誰も相手にしてくれません。
国中で口論が起き、殺人事件まで発生して大混乱です。

「なんで借金を払えないんだ!?
借金を払え!」

「うるせぇー!
俺も大量のお金を他人に貸してるから、ちょっと待て!」

「なんなんだよぉっー!これはぁー!
俺なんて、家を全部売って、ようやくチューリップを買ったのに、今になってこれかよ!?
うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

「そうだ!借金払えないし、他の国に逃げよう!」

「借金を払えないならしんじゃえー!」

少年は街中を彷徨い、チューリップの球根を売ろうとしました。
ですが、売れません。
チューリップを対象にしたバブル経済は泡のように弾けてしまったのです。
少年は涙が出ました。
薔薇色の人生が終わったのです。
少年は貴族ですが、家が裕福ではない上に、家を継げない次男だから親も助けてくれません。
少年は絶望して道にへたれ込んでいると、手に大きな袋を持ったラッキーが目の前を歩いてきました。
ラッキーはクスクス笑いながら、少年に話しかけてきます。

「ねぇ?オランダ君。
ひょっとして、多額の借金を作っちゃったのかな?
きっと、君が一生かけても払えきれない金額だよね?
私、デート中に何度も何度も忠告したよね?
どうして理解できなかったの?
これからの人生どうするの?
失踪して逃げる?
それとも諦めて死ぬ?
君はどんな行動をするのかな?
・・・・え?」

少年はラッキーに抱きついてきました。
いつもながら殴り飛ばしますが、ラッキーは何もしません。
少年はラッキーを強く強く抱きしめながら、熱い口調で語りかけてきます。

「・・・ラッキーちゃん!
よく分からないが、僕はとんでもない借金を背負ってしまったようだ!
そんな僕と一緒に逃げて、そこで僕と添い遂げてくれるかい?
僕は絶対に君を幸せにする!
絶対だ!約束する!」

「うーん、オランダ君には悪いけど、私はそこまでの覚悟はないよ。
君とはそろそろ別れて、新しい旅に出るつもりだったし。
私みたいな娘より、新しい娘と恋した方が健全だよ?」

「ええええええええええええええええええええええええええええええ?!!!
ぞんなあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

予想外の返答だったから、少年の心は激しく傷つき、ラッキーの身体を離して地面に倒れこみました。
将来的にラッキーにプロポーズして、純白のウェディングドレスを着せて結婚するつもりだったからです。
しかも、少年にとってラッキーとの恋愛は初恋でした。
ラッキーは、手に持っていた袋を、悲しんでいる少年に投げ渡して、優しい声で話しかけます。

「その袋には、この1年間の間に、オランダ君が私に貢いだお金の約半分が入ってるよ。
それだけあれば、何処かに逃げてもしばらくは生活できるよね?
借金取りから逃げれば、新しい地でもやっていけるはずだよ。
じゃ、さよなら。」

そう言ってラッキーが場から立ち去ろうとすると、少年はラッキーの白いローブの裾を掴んで叫びました。

「ちょっと待ってくれ!
ラッキーちゃん!
僕と一緒に逃げよう!」

「うーん、私はもう飽きたんだ。
バブル経済が崩壊するまで長すぎて、待つの退屈だったし、この国にいると堤防破壊して遊びたくなるし、これ以上いると、この国は私の手で壊滅するけどそれでいいの?
海に沈没したい?
また、堤防を再建しても、土地から塩を抜く作業で膨大な人件費がかかるよ?
この国って農業が盛んなんでしょ?
じゃ、さようなら。
オランダ君と過した一年は楽しかったよ。」

ラッキーは容赦ありませんでした。
この国に居ると、堤防を破壊したらどういう光景になるのか知りたくて、好奇心がウズウズしています。
でも、妖精さんに毎日のように怒られたからやってないだけです。
少年はラッキーの言いように絶句し、掴んでいたローブを離しました。
そのままラッキーは歩いて場から立ち去り、オランダ少年と二度と会う事はなかったそうです。
恋って儚いですよね。
少年はラッキーの後姿が見えなくなった後も、ずっとラッキーが居た方角を見続けました。

「うああああああああああああああああああああああああああ!!!
ラッキーちゃんんんんん!!!!!
どうじでぞんな酷いごと言うんだああああああああああああああ!!!!
君は僕と結婚じで幸せになるべきなのにいいいいいいいいいいいい!!!!
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
どうじでごんなごどにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!
ラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキーラッキィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!」

翌日、少年は失踪しました。
何処かで幸せに暮らしてるといいですよね。
失恋は新しい恋のための糧なんだと思い込めたら、前向きに生きられると思います。







後に、このバブル経済崩壊は、この地に住む人々から世界恐慌(自称)と呼ばれ、200カ国以上の国々を巻き込んだ大きな大きな大戦【第二次世界大戦(自称)】の切欠になりました。
少し説明すると、チューリップバブル崩壊で経済に大きなダメージを与えたせいで、失業者が大量発生し、各国は自国の産業と経済を保護する事を優先しすぎて、国際間の貿易が縮小し、資源がない国は活路を見いだすために、他国に侵略するという形で戦争に手を染めて激しい応酬になってしまったのです。
この惑星は木星よりも大きな星のため、物理的に断絶している地域が多数あるおかげで、世界経済に影響を与えるほどの事件ではありませんでしたが、それでも極一部の狭い地域に住んでいる40億人近い人間を戦争に巻き込む起爆剤になりました。

「うーん、なんで戦争の名前が世界大戦なんだろう?
星の極一部の地域しか戦争してないよね?
気になるなぁ。
自分達の地域が世界とでも思ってるのかな?」







17国目 チュリープバブルの国
おしまい








テーマ【チューリップバブル】 

テーマ【20世紀の世界恐慌】

テーマ【第二次世界大戦】

人類初めてのバブル経済事件やってみた。
史実だと、大量の債権者(3000人)と同時に債務者を量産しちゃったけど、議会が「調査が終わるまでチューリップ取引は保留とする」って言ったから、僅かな被害者を出すだけで終わり、現実はここまでは酷くないEND
オランダ経済に何らダメージなし。








17国目 チュリープバブルの国
おしまい


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HP  ラッキーの不思議な旅


7 件のコメント :

  1. 実話だったのかー

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    1. (´・ω・`)オランダのチューリップバブルはあんまり知名度ないのかー

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    2. 今、インターネットではパルメバブル絶頂期!
      パルメ関係の記事は軒並み高アクセス! パルメさんを題材にした二次はどんなゴミ小説でも高評価さ!

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    3. (´・ω・`)持ち上げまくった末に、地獄のどん底まで落とす気だなー

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    4. 『バブル期』
       俺たちがパルメさんを貶めるわけ無いじゃないですか!
       パルメさんに何所までもついて行きます! パルメさんの為なら死ねます!!



      ほら、何も心配する事はないよパルメさん……。

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    5. バブル後

      パルメ・・・・・?ああ、うん、懐かしいね・・・・。


      ってことですねw

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    6. 民間人(´・ω・`)パルメ?
      あの頃は良かったなー。
      景気がよくてさ。

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