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【ラッキーの不思議な旅】 16国目 二つに分かれた国

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公開日: 2014年9月27日土曜日 ラッキーの不思議な旅 自作小説


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HP  ラッキーの不思議な旅

寒い寒い場所に、一つの小さな国がありました。
国の大きさは地球の日本の北海道より少し小さい程度で、バグパイプやキルトなど独自の文化を育み、スコッチウイスキーというお酒が世界的に有名です。
国の中にある小さなバー(酒を飲む店)のカウンターの席に、白いローブを着た金髪の女の子ラッキーが、スコッチウイスキーを、ガラスの容器に入れて飲んでゆっくりしています。
店内はお洒落な木造で薄暗く、棚に大量のお酒が並んでいる大人の店でした。

「うーん、この酒美味しいね。
ほろ酔い気分?」

子供が来ても良い場所ではありませんでしたが、ラッキーは気にしません。
バーの店主スコットランドおじさんに、多額のお金を払ったから、無問題なのです。
スコットランドおじさんは、鼻に洒落ているちょび髭を生やした紳士な男性です。黒っぽいウェイターの服を着ています。
おじさんは、ガラスの容器をタオルで拭きながら、店内の上部に備え付けられたテレビを見てました。
店内にいる客達も、テレビに夢中です。
テレビでは【住民投票で、イギリスヤー国からの独立が決まりました!】と叫んでいる女性記者が映っています。
その内容に、店内にいるお客さん達が笑顔で独立を喜び、席から立ちあがって次々に叫びながら踊りました。

「やったぁー!これからは北海油田の収益を全部独占して豊かな生活ができるんだぁー!」
「スコッチウイスキーの税率を自分達で決めて、儲けるぞ!」
「やったー!やったー!これでイギリスヤー国から搾取されずに済むんだぁー!」
「イギリスヤー国の借金から解放されて、健全な財政でゆっくりできるんだ!」

ラッキーはスコッチウイスキーをグビグビ飲みながら、人間達の喜びようが気になったので、目の前にいるスコットランドおじさんに話しかけました。

「ねぇねぇ、テレビでなんか独立投票とか言ってるけど、あれってなーに?」

「うん?
ああ、ラッキーちゃんは外国人だから、この国の事情を知らないんだったね。
あれはね。
我々を長年、搾取して不平等に扱ってきたイギリスヤーという国からの独立を決める住民投票の事だよ。」

「?
この地域が独立するの?」

「長年、この地域はイギリスヤー国に搾取されてきたから、僕達の不満は限界だったからね。
独立して、これからの人生を自分達で決めて行く事にしたんだ。」

「ふーん。具体的にイギリスヤー国からどんな風に搾取されたの?
私的にはそっちが気になるかな。
住民投票で独立できるって事は、そんなに悪い国じゃないんでしょ?」

スコットランドおじさんは少し悩みながら答えました。

「そうだね・・・・でも、僕達の地域は、海に北海油田っていう、年に1兆円相当の利益を産みだす油田を領有しているのに、その利益をイギリスヤー国は搾取してきたんだ。
しかも、この地域は、イギリスヤー国から見れば投資する価値が低い辺境で、どんどん寂れて衰退する一方だからね。
最近は炭鉱を閉鎖して経済的にも辛いし、若者は出て行くし、僕達の我慢は限界だったんだよ。」

「そうなの。大変だね。
でも、独立しても、この国はやっていけるの?
見た所、人口も少ないよ?
イギリスヤー国って大国でしょ?独立するデメリットの方が多くないの?」

「ああ、その点は独立派が大丈夫だって宣伝しているよ。
何でも、イギリスヤー国の借金を一切背負わずに、北海油田の収入を独占して、EUっていう地域統合体に加盟して、イギリスヤー国の通貨ポンドも使えるそうだから、経済的なメリットだらけでとても良い事らしい。
そうなったら、若者の雇用も増えて、この店もお客さんで一杯になって繁盛間違いなしだね。
僕としては独立すると嬉しいんだよ。」

「・・・なるほど。
ありえないほどに都合が良い事だらけだね。
それにしても、この酒は美味しい。」

ラッキーはお酒をグビグビ飲みました。呑んだ後のほろ酔い気分が良くて、顔を赤らめています。
スコットランドおじさんは、笑顔で酒の話をしてくれました。

「そのスコッチウイスキーっていう酒は、この地域・・・いや今は国か。
僕らの国の主要産業になるほどの人気の酒なんだ。
世界200カ国に輸出して、年に6000億円ほどの売り上げをあげているんだよ。
何でも、日本ヤーっていう経済大国では、世界5大ウイスキーに数えられるほどに人気らしい。
これはとっても光栄な事だよ。」

「なるほど、これだけ美味しいなら納得したよ。
お酒って飲むと頭が気持ちよくなるよね。」

ラッキーは、スコッチウイスキーを飲み続けました。
エルフは人間とは身体の構造が違うため、深く酔えませんでしたが、身体がポカポカ暖かくなって良い気分です。
スコットランドおじさんは、次々とお酒を飲むラッキーに笑顔を向けていましたが内心では

(これは将来アル中になるな。
僕が止めた方がいいかもしれない。
お酒はほどほどが一番良いんだ。)

ラッキーに説教してでも、お酒を飲ませるのをやめようかどうか悩みました。
しかも、ラッキーが次々とお酒を飲むせいで、このままだと店の酒のストックが全部なくなりそうです。
オジサンは何度か止めようとしましたが

「ラッキーちゃん、そろそろ飲むのをやめて、眠らないかい?
そうしないと、さすがに健康に悪いよ?
ほら、夜も遅いし、オジサンの部屋のベットを貸してあげよう。
そんなに酒を飲んだら、酔い潰れて悪い大人に酷い事をされ」

「えい!」

「ヒデブッ!」

ラッキーの身体に触れて、無理やり移動させようとしたから、ラッキーは襲われたと勘違いして、オジサンを殴って気絶させてしまいました。
オジサンが気絶している間に、店内に残った酒、オジサンが秘蔵している高級酒も全部ラッキーのお腹の中に次々と入りました。
スコットランドおじさん、とんでもない大損です。

「うーん、飲み心地がいいなぁ。
この国のお酒好きかも。
頭が熱くて気持ちいい・・・」

オジサンが言った悪い大人とやらも後でやってきましたが、全員、ラッキーに殴られて気絶させられ、財布を全部没収されました。






ラッキーが10時間かけて店内のお酒を全部飲み終わって、店の扉を開けて外に出ると、街中が大騒ぎになっています。
10時間ほど前は、イギリスヤー国から独立できた事に街中の人間が希望を持っていたはずなのですが、今じゃ絶望してあちこちで喧嘩が起きていました。
ちょうど目の前で、二人の男の若者が口論して争っていたから、ラッキーは聞き耳を立ててゆっくりしていると、内容が聞こえてきます。
どうやら、イギリスヤー国からの反独立派と独立派が口論しているようです。
反独立派の若者は、大声で叫んでいます。

「俺は独立に反対だったんだ!
イギリスヤー国が、色々と脅してきた時の内容を知っているだろう!?
独立したら、俺達は経済的に不味い事になるからデメリットが多いと何度も言ったはずだ!」

「はぁ!?
自分達の人生は自分達で決める!
それは正しい事のはずだ!
イギリスヤー国に従っても、この地域には衰退しか待ってなかったんだぞ!?
なら一か八かに賭けて、独立した方が良かったはずだ!」

「実際にやったら、北海油田を独占できないわ、借金を背負わされるわ、EU(地域統合体)には加盟交渉ないと参加できないわ、イギリスヤー国の通貨ポンドも使えなくなって、大混乱になっているだろ!?
資本を持っている外資もどんどん国から出て行く予定のようだし、最悪だ!
俺はこの国を出て、イギリスヤー国に移住する!」

「こ、この恥知らずがぁー!
故郷を見捨てる奴は修正してやるっー!」

「無知で馬鹿なお前達みたいな奴が悪いんだろう!
お前みたいな奴は粛清してやるっー!」

若者達はすぐに殴る蹴るの喧嘩になっていました。
この光景は、あちこちで繰り広げられて国中が大混乱です。
国を出ようとする人々が乗った車で、大通りは渋滞が起きて、交通機関が麻痺しています。
ラッキーは、頭の上に乗っている妖精さんに向けて、こう言いました。

「ゆっくりお酒を飲める雰囲気じゃないね。
妖精さん。
こんな混乱はつまんない。
もっと面白い事ないのかな?」

「ラッキー・・・・嫌なら、さっさと国を出て、故郷に帰ろうよ・・
この国寒くて大嫌い・・・」

妖精さんは寒さで震えて辛そうだったので、ラッキーのローブの中に飛んで避難しました。
ラッキーは妖精さんの反応が可愛らしいからクスクス笑います。
街の方は大混乱でしたが、ラッキーはスコッチウイスキーを飲みたいから、近くに見かけたバーへと向けて歩きました。
店の扉を開けると、店内に設置されているテレビに、イギリスヤー国の首相の演説が放映されています。
それはこの国の住民に対する呼び掛けと警告でした。

【今なら間に合います!
イギリスヤー国と再び一つになりましょう!
皆さんは独立派に騙されているのです!
独立派の薔薇色の未来は、現実ではありえない理想です!
北海油田の収入を独占して、イギリスヤー国の借金を一切背負わずに独立という無責任な事は、一切認めません!
地政学的に重要な北海を、イギリスヤー国の軍事力なくして守る事はできないのです!
そんな不安定な地域からは企業は逃げ出し、経済が今以上に衰退するのは明白!

独立派の語った薔薇色の未来は、存在しないものなのです!
それにEUへの加盟も出来ません!
EUは欧州統合を目指して作られた地域共同体です!
その趣旨に反して独立した国の加盟は認めません!
さぁ!再び一つに戻りましょう!
我が国は反乱を許しません! 】

どうやら、この国の未来は独立したせいで、大混乱して真っ暗のようです。
店内の人間は悲嘆にくれていました。
うっかり独立したせいで、どうすればいいのか分かりません。
でも、ラッキーには関係ないので、美味しいスコッチウィスキーを注文して、グビグビ飲みました。

「この国、酒が美味しいね。」





16国目 二つに分かれた国
おしまい。



テーマ【スコットランドの独立END書いてみようと思ったけど、経済的に衰退にした後に、イギリスにまた合併される未来が思い浮かんだ。】  


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HP  ラッキーの不思議な旅


2 件のコメント :

  1. まあ、もしもイギリスがこの後に及んで強硬な態度で対応して、
    そこそこの妥協案を呑まなかったら、マジで独立してただろうねぇ。

    考え得る全てのデメリットを甘受しなければならないとしても、やらないよりは良いと誰もが考えるだろうなぁ。

    返信削除
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    1. (´・ω・`)確かに、投票結果見るとそれもありえたね。
      正直、独立した後に成功するのか、失敗するのか、スコットランドを運営する人間さん次第だから、末路は書けなかった。

      削除

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