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【ラッキーの不思議な旅】 13国目 世界一幸福な微笑みの国 後篇

3 件のコメント :

公開日: 2014年9月22日月曜日 ラッキーの不思議な旅 自作小説



前にゆっくり戻るよ ゆっくり次に進むよ
HP  ラッキーの不思議な旅

青年の家で出された料理は、エマ・ダツイと呼ばれる辛いトウガラシとチーズの煮込み料理でした。
どの料理にもトウガラシが入っていて、干し肉を使った料理もあります。
この国は高地が多いため、日本のように米が栽培できず、トウモロコシやソバなどが主食なので、トウモロコシがたくさん使われていました。
ラッキーは、次々と出てくる美味しい料理を手で掴み、口に入れて平らげました。
エルフは水と光だけで生きていけますが、味覚があるので美味しい物は好きなのです。
青年の家族は、食事に夢中の無邪気なラッキーを見て微笑みます。
ラッキーも彼らに微笑み返した後に、食事しながら知的好奇心を満たそうと

「ねぇねぇ、さっき聞きたかったんだけど、ネパァルゥ人ってなーに?」

青年の家族の微笑みの表情が真っ青になりました。
どうやら、こんな状況でもネパァルゥ人の事を聞くのはタブーのようです。
でも、青年はラッキーから多額のお金を貰っているから、覚悟を決めてゆっくりとした口調で教えてくれました。

「ネパァルゥ人というのはな。
この国の隣にあるネパァルゥっていう国に住む人間達を示す言葉なんだ。
小さいお嬢さん。」

「?
他の国の人なのに、この国に10万人も住んでいたの?
さっきのあの光景って、国外追放だよね?」

「ああ、正確にはネパァルゥ人というより、ネパァルゥ系の我らの同胞と言った方が表現として正しいな。
彼らは今から100年ほど前に、ネパァルゥからこの国の南部に大量に住み着いて、当時の法律で国籍を得たんだ。」

ラッキーは、この時点で分かりました。
他の国でもよくある移民問題だからです。
ラッキーは、頭の中に浮かんだ答えが正解なのかを確かめるために青年に聞きました。

「つまり、かつての移民達を、この国は追いだしているという事なのかな?
この世界じゃよくある事だよね。」

「・・・そういう事になるな。
でも、これは仕方のない事なんだ。
総人口の2割を占めていて出生率が高いネパァルゥ人を追いださないと、国が纏まらずに勢力が分裂してゴチャゴチャな事になってしまうから、国外追放は仕方のない事なんだ。
現に、ネパァルゥ人が多数移住した隣国のシッキム王国は、ネパァルゥ人が多すぎたせいで、インドォという国に併合されてしまって、今は存在していない。
だから、国外追放は仕方のない事なんだ。」

青年は気不味そうな顔でした。
青年の家族達は、ラッキーを睨んでいます。
この国では、既にネパァルゥ人という言葉はタブー(禁止)だからです。
でも、ラッキーは知的好奇心を満たすために、この国にやってきたから遠慮しません。
首を可愛く傾げて質問を続けました。

「うーん、この国ってそんなに大事なのかな?
国民の2割を国外追放するくらいなら、近隣の大国のインドォにでも併合された方が、皆は幸せじゃないの?
インドォって色んな民族が共存する民主主義国家だよ?
まぁ、衛生環境は悪いけどね。」

「・・・小さいお嬢さんは、この国に関係ない外国人だからなんとでも言えるのかもしれない。
でも、俺達はこの国の文化を守りたいんだ。
国と文化を維持するには、多少の犠牲もやむ得ないんだよ。
ネパァルゥ人は俺達と信仰している宗教も文化も違ったから、一緒に共存できなかったんだ。
ただ、それだけを小さいお嬢さんには理解して欲しい。」

ラッキーは、それで一応納得しました。
青年はラッキーが納得してくれたと思って微笑んでくれます。
ラッキーも微笑み返しました。
ここは幸福と微笑みの国ですから。







食事を終えた後、ラッキーは、青年の子供達と一緒に同じ部屋で下着(シャツとパンツ)だけで寝ることになりました。
寝ることになりました。
ラッキーは困りました。
エルフは、1年間平然と起きて生活できる生物なので、寝るは趣味の類なのです。
子供達は明日の農作業のために、深くグースカグースカ眠っています。
ここらへんは、国の辺境といっても言い場所なので、人間達が遊べたり、楽しめる場所は夜にはありませんでした。
ラッキーは下着姿で粗末なベットの上を寝転がり、退屈を持て余しています。

「うーん、暇だなぁ。」

暇すぎるからラッキーは窓を開けて、夜空を見て暇潰しをしようとすると、後ろから足音がします。

ギシ ギシ ギシ  ギシ ギシ

音はだんだん大きくなり、この部屋へと近づいてきました。
ラッキーはすぐに探査魔法を使ったので、この足音の主は青年だと分かりました。
青年は足音を立てないように慎重ですが、音が鳴っているから無駄な努力です。
そして、青年はこそこそ部屋に入り、ラッキーがいるベットの所へと、真っ黒闇の部屋の中をゆっくり歩んできました。
明らかにこれは、夜這いという伝統です。夜這いは日本でいう、女性を妊娠させて出来ちゃった結婚の上位互換バージョンなのです。
この国は一夫多妻制、その逆も認められている国なので、こういうことはよくあることでした。
ラッキーも旅の最中に、この手の事をされるのは、慣れているので

「小さいお嬢さん。実は俺は情熱的な一目惚れをして、今にもこの恋心が爆発しそうだから、結婚を前提に、情熱的な愛を語り合お」

「えいっ!」

「アベシッ!」

ラッキーに覆いかぶさろうとする青年の腹を問答無用で殴り、気絶させました。
女の子の1人旅は、こういう事だらけで危険ですね。






夜は暇なので、ラッキーは服を着て、やっぱり散歩する事にしました。
この国は街以外には街灯がなく、外は真っ暗です。
谷があったりするから、夜の移動は危険を伴うため、歩く人は10万人の国外追放を受けたネパァルゥ人と軍人以外は見かけませんでした。
ラッキーは、遠くに野営しているネパァルゥ人達の姿を見たので、そこまで歩きます。
彼らは焚き火を囲んで、暖を取っていました。
ネパァルゥ人が逃げ出さないように、遠い所に軍人が数人立っているだけです。
ラッキーは知的好奇心を満たすために彼らに近付いて問いかけました。

「ねぇねぇ、この国から追い出されてどんな気持ちかな?
この国は他の国から、世界一幸福な微笑みの国って聞いたけど、あなた達はどう思うの?」

ネパァルゥ人の20代前半の細身の男性が怒りの気持ちを籠めて、ラッキーを睨みながら返事が返してきました。

「何が幸せだ!
その世界一幸福な国ってのはな!
この国の嘘だよ!」

「そうなの?」 

「幸福の基準を、この国が勝手に決めて作っているから、世界一になっているだけだ!
こんな国は幸福じゃない!
むしろ不平等だらけの不幸の国だ!
俺達を国から追放する時点で、小さいお嬢さんにもそれがわかるだろっ!?」

男性の言葉に同調するかのように周りのネパァルゥ人も頷いていました。
でも、ラッキーは彼らのことをよく知らないので首を可愛らしく傾けて

「どうして国外追放されるの?
この国の人達と文化や宗教が違うせいなのかな?」

「ああ!そうだよ!
でも、俺達にだって言い分がある!
この国は、俺達の文化や宗教を否定して、同化政策をやろうとしたんだ!
腐敗した王族が権力を握る王政な事に不満をもって、人権の尊重と民主主義を要求したら仲間が弾圧されて拷問された!
挙句の果てには、ネパァルゥ語を国が禁止させて、この国の民族衣装を着るように要求してきたんだぞ!?
それを拒否したら、学校や病院を閉鎖されて、今じゃネパァルゥ人全員を国外追放政策だ!!
こんな理不尽な国が幸福な国であるはずがない!
俺達は移民の子孫だけど、100年もこの国に住んできたのに可笑しいだろ!?」

ラッキーは、この男性のおかげで、だいたいの歴史背景を知れて、知的好奇心を満足させれて、ゆっくりできました。
この場に居た数人の男性が、男性の言葉に耐え切れなくて呟いています。
とっても辛そうな顔をしながら

「・・・・俺なんてネパァルゥ人じゃないのに、10年前に、王族が税金を横領したことを告発しただけで、10年間刑務所に入れられた後に国外追放だぞ・・・・」

「俺もネパァルゥ人じゃないけど【豊かな農民だから民主主義活動をやるかもしれない】という理由で家族ごと国外追放だぞ・・・
他の豊かな農民達も纏めて国外追放だから酷い・・・・」

ラッキーは、この時点で理解しました。
この国は、王政を維持するために、自分達に従わない連中を全員追い出そうとしていると。
残る事を許されたのは、王様に従う国民だけなのです。
民主主義を扇動して、王政を崩壊に導く可能性がある高い国民は、王族の敵でした。
ネパァルゥ人の皆や、それ以外の人達は明日へ絶望しながら、ぶつぶつと呟いています。
彼らに待っているのは、国外での数十年以上に及ぶ予定の難民キャンプ生活です。
今まで自給自足で働いてきた人達が、他国から恵んで貰わないと、生きていけない貧困難民生活をしないといけないということでした。
運が良ければ、他国に移住して今よりも良い生活が出来ますが、そういう人間はどの国でも少数派です。
国というものは、国内を不安定にさせる可能性が高い難民を受け入れたがらないのです。
ラッキーは、話を聞かせて貰えたお礼に銀貨を一枚放り投げて、お金を恵んであげました。

「はい、話を聞かせて貰えたお礼だよ。
これから大変だと思うから頑張ってね。」

このラッキーの行動で、ネパァルゥ人達は、複雑そうな顔をしています。
俺達は物乞いじゃないと、言いたそうな顔でした。








難民になる未来がすぐそこまで迫っているネパァルゥ人達との会話を終えたラッキーは、夜の暗い道を歩いて帰路につきます。
夜空には66個以上の小さな月が浮かんでいて綺麗です。
楽しい気持ちになりながら、ラッキーはトコトコ歩くと、宿泊している家の前に、先ほど気絶させた青年が起きて立っていました。
青年は神妙な顔でラッキーに

「小さいお嬢さん。
ネパァルゥ人と会話してきたんだね?」

「うん、そうだよ。」

「小さいお嬢さんは、この微笑みの国の現実に失望したかい?
俺は失望したり、俺達を見下してきた外国人をたくさん見てきた。
小さいお嬢さんが、この国に失望しても可笑しくはない。」

その言葉を聞いたラッキーは顔を横に振り

「ううん、この国に失望してないよ。
この国は・・・普通の国だよ。
世界の何処にでもある普通の国。
住んでいる国民が世界一幸福かどうかは知らないけどね。」

「そうか。」

青年は安心した顔でした。
そして、ラッキーに近付いで抱きしめようとしたので

「えいっ!」

「ヒデブッ!」

ラッキーにお腹を殴られて、青年は気絶させられました。
ラッキーはクスクス笑いました。







ラッキーは、この幸福な微笑の国で、10日の日程を楽しんで過ごして、この国から出て行きました。
別れる前に、兵士も青年の家族も微笑をラッキーに向けていました。なぜか青年は顔が傷だらけで泣きながら微笑んでいます。
ラッキーも、彼らに素敵な満面の微笑を返しました。
ここは幸福な国民が住む微笑みの国です。
彼らは彼らの守りたい物があったのです。
守りたいから、人口の2割を切り捨てる道を選んだのです。






国の外から13万人以上の捨てられた難民達が、憎悪の感情を、この国に向けていました。


13国目 世界一幸福な微笑みの国
おしまい



前にゆっくり戻るよ ゆっくり次に進むよ
HP  ラッキーの不思議な旅

3 件のコメント :

  1. 乙です。

    実際普通ですね。
    富農はかわいそうですが、他民族は同化するか追い出すしかないですし。でなけりゃ憎悪が国内で育つという。
    だったら、どのみち憎悪はされるにしても、国境線挟んだほうがマシですね。

    返信削除
    返信
    1. (´・ω・`)パルメにも、この問題をどうすればいいのか分からないですお(現実に存在する国家そのまんま出した。

      削除
  2. この国に居座る某国の人達には何としても出て行って貰いたいから気持ちが良く分かる・・・

    返信削除

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