【Elona かたつむり観光客の悲劇 】  第9話   依頼内容が酷すぎる(前編)

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公開日: 2014年8月12日火曜日 Elona 自作小説


Elona かたつむり観光客の悲劇 】 

前にゆっくり戻るよ  次にゆっくり進むよ

稼ぎがない。
お嫁さんに会う度にそれを言われる。
子供達は勝手に育つから養育費なんて必要ないが、嫁が好きな家具を購入できなくて困っているから、イライラして文句言われる。グスン。
ベットの上では、従順な可愛いカタツムリなのにひどい。
でも、私もそろそろ纏まった金が欲しいと思っていた所だから、街に仕事を探しにいってくる(キリッ

「農作業は駄目だったから、きっとそれがいいと思うにゃっ。
果樹園があるなら、先にいって欲しかったにゃっ・・・。」
今日の朝ごはんは、嫁さんが大量に引っこ抜いて持ってきて、自宅の近くに大量にある果実の木の果物。
とっても甘くてジューシー。
料理すれば、とっても美味しいスイーツになる。
砲撃陣地の近くにあるから、荒らされる心配もない素晴らしいベストプレイス。
気分はジャングルの王者カタツムリ。
メインデッシュは冷蔵庫の人肉。むしゃーむしゃー。




第9話   依頼内容が酷すぎる(前編)




この世界では、街の各所に依頼が貼り付けてある。
冒険者の命をゴミとしか思ってない値段で貼り付けてあるものがほとんどだったり、失敗しったら極悪犯罪者として殺されたりするが、特に問題はない。
ティラノ君がいれば、きっと何とかなる。
ティラノ君のボディは、私達よりも頑丈で素晴らしいのだ。褒めてくれてもいいよ。
「自慢もほどほどにして、さっさと仕事を請けるにゃ。」
うん。さっさと仕事をしよう。
私はヴェルニースの中央の広場の設置されている掲示板に、ズラリと並んでいる依頼を一つ一つ読んでみることにした。
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依頼主:市民のショクジンキ
うっかり、近所の子供達にジュースを配ったら、それは呪われたジュースだった!
子供達が全員、怪物になってしまったから、それを全て処分して欲しい!
早くしないと親達にばれそうだ!
報酬は弾むっ!
報酬:金貨10枚+子供の肉
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報酬が低い。低すぎる。
こんな低報酬じゃ、やる気にもならない。
「ひ、ひどい依頼にゃっっ・・・!
明らかに誘拐して、子供達の肉を食べてるにゃっ・・・!」
うん、報酬額が低くて本当に困る。次の依頼を見てみる事にしよう。
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依頼主:ガードのハマーン
うっかり井戸に呪われたエーテル抗体ポーションを落としてしまったっ!
一つの地区が丸ごと怪物の住処になっているから、駆除をしてほしい!
報酬は弾むっ!
私は街を守る仕事で忙しいから、手を貸せないっ!
報酬:金貨900枚+壊れた携帯電話
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範囲が広すぎるから却下だ。
きっとモンスターの数も多いから、この報酬じゃ働きたくない。ぷんぷん。
「街を守るガードが何をやっているのにゃっ・・・。
もうツッコミを入れるのも大変にゃっ・・・。」
割の良い仕事が欲しい。次の依頼も見てみよう。
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依頼主:宿屋の女将ミレーヌ
お客さんにお酒を出したら、全員が怪物になってしまったわ!
きっと、運が悪かったのね!
決して、突然変異のポーションを間違えて入れたとか、そんな事はないわっ!
解決したら、報酬は弾むわよ!
報酬: 金貨4000枚
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おお、これは素晴らしい。
宿屋の客だけなら、そんなに大した数じゃないから簡単そうだ。
早速、仕事を受けるとしよう。
「全部可笑しいにゃっ!
依頼主の自業自得にゃっー!」
バリッ
頭を爪で掻かれた。
最近の黒猫ちゃんのツッコミが痛い。
突然変異のポーションぐらいで怪物になる方が悪いと、私は思う。
あれは身体の一部が変形するくらいの効果しかない。
「うるさいにゃっー!
この世界が可笑しいのにゃっー!」
バリッ









依頼主の宿が凄く大きかった。
なんだろうか、数百人のお客さんが入れそうなほどに横幅が大きい二階建ての木造建築だ。
宿屋の入り口からはいると、中には太った40歳くらいの美味しそうな金髪の女性がいる。
きっと、これが宿屋の女将なのだろう。
女将さんに依頼の件をたずねると
「大変なのよっ!もう、本当に大変っ!
二階を封鎖しちゃったから、二階にお客さんを泊められなくて大変なのよ!
早く、全部殺して欲しいわ!」
「可笑しいにゃっー!
お客さんを化物に変えた張本人の発言が酷いのにゃっー!」
「失礼ねっ!
全部、傭兵とか、吟遊詩人とか、そんな連中ばっかりよ!
そんな連中が化物になったからって何が悪いのおおおおおおっ!!!!!!!?!!!
そんなことよりも早く駆除してね!報酬は弾むわっ!」
うむ、アンドロイドの上に乗ったかたつむり(騎乗)な気分で任せてくれたまえ(キリッ
私の所には、あの超高名なカタツムリ殿並に活躍できると思っているティラノ君がいる。
・・・・・あれ?よく見たら二階が人間用?
ああああああああああああああっ!!!ティラノ君が二階に入れないいいいいいっ!!!!
主戦力がああああああああああああああああっ!!!!
依頼を受けた後だと、放棄すると名声が下がるううううううっ!!!!!!
「困ったにゃっ。
お家に帰るにゃっ?」
よく考えたら依頼中は死亡しても保険が利くから挑戦してくるっ!(キリッ
こんな時に入っていて素晴らしい冒険者死亡生命保険。
死んだら無料で蘇生してくれる。
ただし、ペットの蘇生は有料。
「本当に滅茶苦茶な世界にゃ。
なら、さっさと挑戦するにゃっ。」
前衛として黒猫ちゃんが頑張ってくれると嬉しい。
カタツムリはか弱い存在なんだ。
防具が背中しか装備できない。武器とか、装備できない・・・グスン。
「・・・・しょ、初心者に難しい仕事を頼むご主人様なのにゃっ。」
基本、弱い私は後衛。
前衛で闘ったら、すぐ死ぬ。
塩とか浴びたらビリビリして即死して、白い液体になる。
代わりに闘ってくれると嬉しい。
「・・・・し、仕方ないのにゃっ!
勇気を振り絞って前衛をやってあげるにゃっ!
代わりに、今日のご飯を人肉じゃなくて美味しいオニギリにして欲しいにゃっ!
日本の食生活を取り戻したいのにゃっ!」
黒猫ちゃんが可愛いが、オニギリは高いから駄目だ。
せめて、魚料理にして欲しい。
あれなら家の近くで釣れる。
「・・・わかったのにゃ。」
これで前衛と後衛が揃った。
黒猫ちゃんが死ねば、きっと私も死ぬだろう。
ティラノ君がいない探索とか、10年ぶりだと思った。
たまたま拾った援軍の巻物で出てこなかったら、平凡なカタツムリとして半年以内に死んでた自信がある。
これは黒猫ちゃんの勇気と耐久力と生命力と頑丈さが試される試練だと人肉を食べながら思った。
今日も人肉が美味しい。むしゃーむしゃー。

後編に続く


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